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【個人事業主向け税理士インタビュー】確定申告わからないこと集①~経費&減価償却編~

フリーランスの皆様、確定申告はお済ですか。3月15日までに申告と納付ですよ!
一切手付かず、鋭意進行中の”お済でない”個人事業主を代表して税理士の木村聡子先生に確定申告躓きポイントをインタビューをしてきました。
あやふやな知識で誤った処理をする前に、どうぞご一読くださいませ。

経費&減価償却編

「この領収証は経費にしていいのかな」「これは何費にしたらいいの?」
帳簿をつけていると次々と浮かんで、途端に進行を妨げる”経費仕訳問題”をまずは解消してしまいましょう。
初心者には難しい減価償却についても触れていきます。

Dropboxとかクラウドサービスの費用は通信費?消耗品費?

森「DropboxはいわばUSBみたいなものだから消耗品費か、でも、インターネットを使っているし通信費かなと迷います。他にもクラウドで使えるタスク管理ツールや会計ソフトなど様々なものがあるのですが、こういったクラウドサービスは何費にするのが正解ですか。」

木村「まず、結論から言うと、通信費でも消耗品費でもどちらでも大丈夫なんです。というのは、勘定科目というのはある程度ルールが自由なんです。」

森「そうなんですか。」

木村「例えば、喫茶店でお茶を飲むのも業種によって、会議だったり取材のためだったりします。個人の英会話レッスンを喫茶店でしている場合は、会議費でも交際費でもなくレッスンの場所代になります。ですので、先程のクラウドサービスであれば、そのサービスをどのような目的で使っているかを考えてみて自分にとってしっくりくる勘定科目を使えばいいのです。」

森「じゃあ、自分にとっては消耗品費だと思えば消耗品費にすればいいということですね。」

木村「そうですね。ただ、ひとつ注意がして欲しいのが、一度決めたマイルールは変えないようにすることです。同じDropboxの月額料をある時は通信費、ある時は消耗品費、というようにしてしまうと、自分がどれだけクラウドサービスにお金をかけているのかということがわからなくなってしまいます。また、今年と去年で分け方が違うと、どのように費用が上がっていっているのか、使い過ぎていないか、逆に経費を抑えられているのかが見えなくなってしまいますよね。ですので、自分の使用目的にしっくりする科目で一度決めたら、経費の管理のためにもその統一ルールを守るということに気を付けてください。」

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クライアントさんからいただいた手作りの時計

森「確かにそうですよね。でもいつも前回どう仕訳したか忘れちゃうんですよね。」

木村「そうなんです。私の場合は『科目一覧表』を作っています。インターネット関連費はシステム費という科目を作っているのですが、ソフトウェアの更新やクラウドサービスはシステム費、携帯代や切手代は通信費、などを記載した表を作ります。そしてそのマイルールの表を見ながら処理をすればぶれることはありませんよ。」

森「いちいち過去の同じ費用を探して確認するよりもずっと効率的でいいですね。今度からはそうします。」

木村「以前、私のブログにこういったことに触れたものがありますのでそちらも参考にしてください。」

経費の仕訳についての木村先生のブログ

経費にしていいのかダメなのか境界線はどこなの?

森「ひとりで仕事をしていると、色々と勉強しないといけないことがあって本を買ったり、人を紹介していただいて会いに行ったりします。それは直接売上につながらないこともあるのですが、そういう本代や交通費やお茶代も経費にしていいのでしょうか。」

木村「仕事のためということであれば基本的には経費になります。法人税でも所得税でも『経費』というものの概念については細かく決まっていないのです。例えば、芸能人であればただのTシャツでもステージで着るものであれば経費になります。でも私たちのような一般の人だと、プライベートでも着るものなので経費にはなりません。税法で『Tシャツは経費にならない』と決めてしまうと事業それぞれに合った判断ができなくなってしまいますよね。」

森「そうですね。同じものにお金を払っても人によって用途は違うので断定してしまうのは難しいですね。」

木村「税法では『経費とは事業に要するもの。事業に貢献するもの。売上の原価。』などのざっくりした決め方しかしていません。ですので、経費になるのかならないのか迷った時には、自分の考えとして、『これがなきゃ仕事にならない』あとは、『この仕事をするまではかからなかったけど、この仕事をするようになってからかかるようになった』というものがひとつの基準になります。」

森「なるほど。わかりやすいです。」

木村聡子(あきらこ)先生

木村「ですので、例えば、ブロガーさんであればブログで紹介するお店に取材に行くための電車代、お店での飲食代、カメラなどの機器購入代も経費になるということです。ただ、ここで注意しなければならないのは『拡大解釈』です。ブロガーさんの場合、全国のグルメ情報を発信するブログだという理由で、自分の飲食代すべてを経費にしてすべてブログに書いていたとします。考え方としては正解ですが、そのブログでちゃんと収入を得ているのかどうかも経費にする判断材料になります。自分のブログでアフィリエイトをして数十万の収入があるとか、ブログの訪問者数が数十万あるということであれば認められます。しかし、大してアフィリエイトもやっていないとか、『いつか有名ブロガーになって本とか出します』みたいな夢と希望の段階である場合は、税務調査が来た場合は調査員と揉めることになるかと思います。」

森「あぁ。確かにそうですよね。」

木村「税務調査が来ても否認されないためにはきちんとそのブログが収益につながっていることを示す必要があります。ブログでアフィリエイトをしていて、アクセス数を伸ばすための努力をしているということが大事です。どんな事業でも初年度は赤字になることは当たり前ですので必ずしもブログで成功していなければならないということにはなりません。アクセス数を伸ばして売上に繋げる努力をしていてもまだ実っていないという人は、今後の売上見込みや、自分なりの事業計画を見せて、費用と収益が対応していることを見せられるようにしておきましょう。」

森「すごい勉強になります!」

割り勘で領収証がないんだけど経費にできる?

森「事業のための会食でも、割り勘だったために領収証がないということはよくあります。領収証がなければ経費にはできないのでしょうか。」

木村「法人税、所得税の観点で見れば領収証がなくても経費にすることができます。ただ、消費税の場合は違います。消費税は売上などで自分が預かった消費税から仕入などで支払った消費税を差し引いて納めますよね。ですので消費税の場合は領収証がないと仕入にかかる消費税として控除することはできません。消費税の課税事業者の方は注意してください。」

森「法人税、所得税と消費税で違うのですね。」

木村「法人税、所得税ということですと領収証がないと経費にしてはいけないという条文はありません。でも、経費性や本当にその経費が実在したかという証拠を示すものとして領収証は必要ですよね。」

森「そうですね。」

木村「領収証がないと実証ができないので、領収証が貰えるものは貰うというのが原則です。でも、自販機で購入した飲み物、公共交通機関の交通費など領収証が出ない、もしくは貰いにくいものについては、自分で交通費の精算書をつけたり、出金伝票を書くようにしましょう。」

ご祝儀も領収証はもらえませんよね

ご祝儀も領収証はもらえませんよね

森「なるほど!領収証じゃなくても自分でつけた記録や伝票でもいいのですね。」

木村「精算書や出金伝票には『○月○日 自販機 ××様▲▲案件打合せ用お茶 300円』など日付、支払先、目的、金額を記載しておきましょう。それで領収証の代わりとなります。交通費に関しては、Suicaの履歴で乗車区間がわかることよりも『○月○日 ××社訪問商談のため』などと目的がきちんと記されている方が、経費として認められる可能性が上がります。」

森「Suicaの履歴だけでは証拠として弱いのですね。」

木村「そうですね。それと、交際費の割り勘に関してですが、誰かが代表で払ってくれる場合は代表者に領収証を書いてもらうか、全員に領収証が渡るようにお店の人に『4,000円ずつの領収証を5枚と残りは端数の領収証で出して下さい』などと頼むようにしてください。両方難しい場合は、先ほどのように経費清算書や出金伝票を書いておきましょう。ただ、領収証と比べると証拠能力は落ちます。あまりにも領収証がない経費が目立つと、税務調査が来た時にトラブルになる可能性もあります。そのためにも、日付や金額だけでなく領収証が出なかった理由や、その会食の目的や参加者をきちんと記しておくことが重要になります。」

森「わかりました。ありがとうございます。」

1年分経理は手付かず!もう間に合わないから適当にまとめていい?

森「個人事業主で、特にフリーランスと呼ばれる形態の店舗などを持っていないような方は確定申告の時期にしか経理をやらない、という人がかなり多いと思います。もういっそ1年分の各勘定科目の合計だけを出して確定申告してしまおうかと横着な考えをしてしまうのですが、こういうのはやっぱりNGですよね。」

木村「そうですね。今は、青色申告の方も白色申告の方も帳簿付けが義務化されています。その帳簿には記載要件というものがあります。詳しくは国税庁HPの個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存についてのページを一度読んでみてください。ここに書いてある原則に照らし合わせると、例えば売上については『少額な現金売上については、日々の合計金額のみを一括記載する』とありますので、現金で受け取った分は一日分合計していいということになります。ただ大原則としてはすべての取引を記載しなければいけませんので1か月分まとめてや1年分まとめてということはできません。」

森「それはそうですよね。」

帳簿

木村「ただ、毎月の勘定科目の合計だけを会計ソフトに入力したとしても、別途Excelなどで、その詳細が記録されていればOKです。そのExcelの表に、日付、支払先、経費の使用目的、金額が入力されていればいいのです。会計ソフトに入力した合計金額の根拠として、Excelで作った一覧表と、領収証の原本を出せれば問題ありません。つまりExcelの表が帳簿になるということです。会計ソフトの入力が苦手な方はこの方法でも大丈夫です。1件ずつ入力していくか好きな方を選んでください。」

高額の買い物は資産になる?減価償却の決まりとやり方は?

森「機材やソフトなどで高額の物は資産として計上して減価償却をしますよね。いくら以上だと資産にしないといけないのでしょうか。」

減価償却金額

木村「資産計上の基準には10万円と30万円の二つがあります。白色申告の場合には10万円以上の場合には資産として計上します。99,999円以下であれば一括で経費として落とすことができます。その際は、消耗品費などの費用科目を使ってください。10万円以上20万円未満の場合には固定資産として計上するか、『一括償却資産』と言って3年で1/3ずつ経費にしていくかどちらかになります。」

森「ほぉ。そうなんですね。」

木村「はい。そして20万円以上の場合には固定資産ということになるのですが、青色申告の場合には20万円以上30万円未満であれば、年間300万円までは一括で経費にすることができます(『中小企業者等の特例』)。」

森「20万円以上30万円未満の資産の年間トータル額が300万円までというこですね。」

木村「はい。そして、『一括償却資産』でもなく『中小企業者等の特例』でもなく、10万円以上かかった機材などを固定資産にする場合は、通常の減価償却をすることになります。いわゆる耐用年数で取得価額を割っていくということですね。」

森「耐用年数というのは、そのソフトや機材が何年で価値がなくなるかという帳簿上だけのことで、実際にどれくらい使えるかは関係ないのですよね。」

木村「そうです。どんなものがどれくらいの耐用年数なのかというのは基準が決められています。国税庁のHPに主な減価償却資産の耐用年数表が載っているので参考にしてください。」

森「具体的な計算方法を教えてください。」

木村「では、業務に使うためのソフトを25万円で購入した例で説明します。ソフトウェアの場合は耐用年数は5年です。まず購入し事業に使い始めた日付で資産に計上します。12月の期末に減価償却費を計算します。25万円を5年で償却するので1年で5万円ということになりますが、取得した年の場合は12か月間ではなく、取得した月から12月までの数か月分を計上します。」

資産を購入した年の処理

資産を購入した年の処理

木村「1年目の場合は25,000円ということになります。同じ金額の資産を減らしておきましょう。これは『直接法』という方法でわかりやすいので、簿記に詳しくない方はこちらがおすすめです。次に翌年の確定申告時です。2年目は12か月間分計上すればいいので、購入金額の25万円を5年で割った5万円です。」

購入翌年の処理

購入翌年の処理

木村「3年目、4年目も同じように5万円を減価償却費に計上して5万円資産を減らしましょう。最後に5年目です。4年目までに4年と6か月分が計上されているので、残りの6か月分だけを計上します。」

減価償却③

木村「これで5年前に購入した25万円の資産はすべて費用計上されたということになります。この例では25万円でしたが20万円未満だった場合、白色申告の方であれば、固定資産にせず、一括償却資産として3年かけて1/3ずつ経費にすることもできます。青色申告の方であれば、30万円未満なので購入した年に一括で全額経費にすることもできます。経費が増えるので税金が減り節税になります。翌年以降も少しずつ経費を増やすか購入年に一気に経費にするか納める税額を考えて選べますね。」

森「青色申告で一括で全額費用になるのであれば、初めから消耗品費で計上してしまえば簡単じゃないですか。」

木村「いえ。一括で費用にする場合でも、いったん固定資産や一括償却資産として計上して、減価償却処理をした方がいいです。なぜかと言うと、消耗品費で処理したとしても、青色申告決算書に減価償却の欄がありまして、そこに明細を書かなくてはいけないのです。一度消耗品費にしてしまうと、すべての消耗品費を遡って見なくてはならなくなります。ですので、購入時に資産として計上しておき、確定申告の時に、減価償却費を計上するという方法にしましょう。もし消耗品にしてそのまま忘れてしまった場合、税務調査が来た時に減価償却費のところに書いていないという理由で否認されて、経費にできなくなってしまう可能性が出てきてしまいます。」

森「それは困りますね。面倒でも一旦資産に計上して、確定申告時に減価償却費に振替える処理をします!」

階段もおしゃれです

階段もおしゃれです

 

 

 

 

 

 

 

続いては、クライアントから給与として貰っている場合やデザイナーやライター必見の源泉徴収についてのインタビュー『給与&源泉徴収編』です。
※『給与・源泉徴収編』は2016/3/1公開です。

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