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【個人事業主向け税理士インタビュー】確定申告わからないこと集②~給与&源泉徴収編~

フリーランスの皆様、確定申告はお済ですか。3月15日までに申告と納付ですよ!
一切手付かず、鋭意進行中の”お済でない”個人事業主を代表して税理士の木村聡子先生に確定申告躓きポイントをインタビューをしてきました。
あやふやな知識で誤った処理をする前に、どうぞご一読くださいませ。

『経費&減価償却編』はこちらからどうぞ

給与&源泉徴収編

個人事業主で、デザイナーやライター、モデル、講師として講演をしている方などに大きく関わる『源泉徴収』について税理士の木村聡子先生に伺いました。クライアントから給与として報酬を貰っているという方も多いでしょう。確定申告ではどのように処理するのかも聞いてみました。是非ご参考ください。

源泉を引くクライアントと引かないクライアントがいるけどどっちが正しいの?

森「webデザイナーをしている人が、クライアントによって、請求金額から源泉所得税を引いた金額を振り込む会社とそのままの金額を振り込む会社があるけど、どう違うのかと言っていたのですがどちらが正しいのですか。」

木村「正解を先にお伝えすると、デザインをした分の報酬ということであれば、源泉所得税を引いて振り込む会社が正解ということになります。まず、源泉徴収についてお話ししましょう。源泉徴収は会社員の方の給与から所得税を引いているものという印象が強いと思います。会社員の給与だけでなく、個人事業主でも提供する仕事内容によって、仕事を発注した法人が源泉徴収をしなければいけない決まりがあります。」

森「個人事業主だからとか特定の業種ではなくて提供する仕事内容で決まるんですね。」

木村「そうです。先程のデザイナーさんであれば、デザインして提供するというのは源泉徴収の対象になります。例えば、そのデザイナーさんが以前自分がデザインした名刺についてクライアントから追加で500枚印刷を依頼されたとします。このときはただ印刷会社に発注をして納品しただけになりますのでこの分は源泉徴収の対象にはなりません。あくまで、デザインをした分だけが対象になります。」

森「内容で決まるというのはそういうことなのですね。どういう仕事が源泉徴収の対象になるんですか。」

シェルフにはお花やカップが飾られていてまさにカフェです

シェルフにはお花やカップが飾られてカフェ的

木村「私のような税理士や弁護士も対象になります。またデザイン、原稿、講演、写真、通訳など様々です。国税庁のHPに一覧が載っていますので参考にしてください。」

国税庁HP:第5 報酬・料金等の源泉徴収事務

木村「また、ここで定められている仕事を提供したら必ず源泉徴収してもらわなければならないわけではなく、相手が『源泉徴収義務者』の場合に限られます。源泉徴収義務者は法人個人問わず、事業を営んでいれば該当します。つまり、事業をしているわけではない一般の人であれば源泉徴収してもらう必要はありません。私の場合であれば、法人の顧問になれば顧問料から源泉所得税を引いた金額を振り込んでもらい、その所得税はクライアントが納付します。しかし一般の個人の方の相続税の相談に乗ったからといってその方が私の代わりに所得税を納付しなければいけないということにはならないのです。」

森「確かに、普通の個人の人が税務署に納付するなんてことはないですね。クライアントが法人で源泉徴収義務者であるのにもかかわらず、源泉徴収をしないで振り込んできた場合はどうすればいいのですか。」

木村「そうですね。原則通りにきちんとやるのであれば、徴収されるはずだった金額をクライアントに返して税務署に納付してもらうということになります(笑)」

森「(笑)そうなるのですね。でも実際には返さないでそのまま確定申告を迎えてしまうこともありますよね。その場合はどうしたらいいのですか。」

木村「本来であれば、そのクライアントさんが源泉徴収義務を怠っているのでそのクライアントさんにペナルティが発生してしまいます。でも、デザイナーさん自身が正しく確定申告しているのであれば、お咎めなしになることが多いですよ。」

森「へぇ。そうなんですね。」

木村「例えば、20万円の請求に対して源泉徴収0円で貰ったのであれば、20万円の報酬があったということでその分の税金を払えば、税務署がわざわざクライアントに『源泉徴収して処理してください』とかデザイナーに対して『源泉徴収されたということで確定申告をやり直してください』とか連絡が来ることはなく、お目こぼしになることが多いですね。でもやはり源泉徴収税義務者は源泉徴収をして税務署に納めなければいけませんので、クライアントさんにそのことを伝えなければいけないですね。」

森「デザイナーさんができる対策として、自分が発行する請求書にあらかじめ源泉徴収税額を記載して、クライアントさんがいくら振り込めばいいのかを分かるようにしてあげるといいですね。」

木村「そうですね。私たちのような税理士などの士業であればそうしている人がほとんどだと思います。」

森「源泉徴収された場合は、確定申告書にどう記載して税金を計算すればいいのですか。」

確定申告書B税金の計算欄書き方

確定申告書B税金の計算欄書き方

木村「まず、源泉所得税を引かれる前の金額を売上として計上します。引かれた分の源泉所得税は前払いの税金になります。例えば、納める税額が10万円だったとしますよね。そして源泉徴収された金額が2万円だとしたら残りの8万円を納めればいいということになります。確定申告書Bに『税金の計算』という欄があります。42番に10万円、44番に徴収された2万円、47番に差額の8万円と記入します。徴収されることが多い人は還付になる場合があります。つまり47番の金額がマイナスになるということですね。その場合は47番に書くのではなく48番に金額を記入してください。」

 

 

給与として貰った報酬は確定申告の時どうするの?

森「ありがとうございます。次に、個人事業主で自分で事業をしていても特定のクライアントからは給与として貰っているという人も多いと思うのですが、その場合は確定申告の時にどう処理すればいいのですか。」

木村「まず、給与として貰っていたとしても必ずそれが給与として認められるとは限らないので、少し注意が必要です。雇用契約があってバイト的にやっているのであればもちろん給与となります。給与か外注費かというのはなかなか奥深い問題で、交通費や仕事にかかる経費をどちらが負担しているかや労働時間に縛りがあるか、トラブルが起きた時に誰が補償するのかなど様々な条件や実態から判断されます。多様な働き方がある中で一概に線を引けるものではありません。外注費と給与のメリットデメリットを挙げてみましょう。」

給与外注メリットデメリット1

木村「給与として貰う場合に注意するのが経費です。給与として貰った金額に応じて給与所得控除が使えますので領収証がなくても一定金額が自動的に経費扱いされ所得を圧縮することができます。ただその代わり、給与として貰っているクライアントの仕事のために交通費が発生したりパソコンを購入したとしてもその実額経費は計上できない可能性が高くなります。支払う側としては外注費として支払ったほうがメリットがあります。」

森「双方にメリット・デメリットがあるのできちんと考えて話し合って決めた方がいいのですね。」

木村「そうですね。支払い側の立場からすると外注費にした方がメリットがあるので、悩ましいポイントでもあり、そのあたりしっかり詰めておかないと、税務調査等でトラブルになることもあります。
あと、給与として貰っているクライアントにかかった経費を、自分の事業の経費に紛れ込ませて計上してしまうということを考える方がいます。まぁ調査でバレないこともあるのですが(笑)」

森「そうなんですか!(笑)」

木村「これはNGです。なぜなら、先ほどお話しした通り、給与収入に応じて給与所得控除という概算経費が既に引かれているので二重の計上になってしまうからです。」

森「そうですね。給与として貰った分の確定申告書はどう書けばいいのですか。」

給与所得

木村「確定申告書Bの『所得金額』の欄6番に給与所得控除後の金額を記入します。いくら控除されるのかは国税庁HPの給与所得控除のページを参考に計算してください。年間の給与の総額が100万円だった場合は控除される金額が40万円ですので、記載するのは60万円です。そして、先ほどと同じように給与であれば源泉徴収されているはずなので、その金額を44番に書くようにしてください。損をすることになってしまいますので忘れないでくださいね。」

 

森「私は去年ここ間違えたのですが、今年は大丈夫そうです!あと、ちょっとうわさで聞いたのですが、給与として貰っている金額が20万円以下だったら申告しなくていいというのは本当ですか。」

噂の20万以下の収入は申告しなくていい問題の真実は?


木村「これはですね、私が数年前にブログで取り上げたのですが、未だに1日のPV数を上げているという(笑)」

森「そうなんですね(笑)みんなここ関心があるのですね。」

木村「残念ながら個人事業主の方はダメです。」

森「(笑)」

木村「実は20万円ルールって、『給与所得者で年末調整だけで課税が完結する人』だけのものなんです。例えば、一般のサラリーマンで会社の給与以外に、副業でアフィリエイトをやっていてそこでも収入がある場合に、その副収入が数万円だというときは申告しなくていいということなんです。あと、給与を2か所以上から受けている人で、1社は年末調整していて、他方の給与が年間20万円以下だという場合は申告しなくていいのです。つまり年末調整をしていて確定申告をしない人だけのルールなんですね。だからそもそも確定申告をする個人事業主の方は該当しないのです。」

森「そういうことなんですね。」

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木村「20万円以下なら申告しなくていいという部分だけが一人歩きしてしまっているんですね。個人事業主の方はメインの事業以外に他の所得があれば数百円でも申告しなくてはいけないんです。あと、給与所得者でも例えば医療費の還付申告をしようとした場合は、給与以外のすべての収入についても同時に申告しなければいけません。」

森「還付だけは受けられないのですね。」

木村「そうですね。つまり、確定申告をする時点で20万円ルールは適用されなくなるということですね。」

※木村先生のブログはこちら

次はいよいよ総まとめ編です。税務調査と木村先生の今後についても伺いました。
総まとめ編はこちら

※総まとめ編は2016/3/2公開です。

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